キャッシュレス社会

QRコード決済の利用者像 ~インフキュリオン決済動向調査2019より~

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日本のキャッシュレス化推進の大きな原動力となっているのがQRコード決済。利用促進のための大型キャンペーンなどが注目を集めますが、消費者ひとりひとりが「使いたい、使い続けたい」と思うようなサービスに育てていくには、より深く利用者像を理解することが不可欠です。

今回は当社が毎年実施している「決済動向調査」から、バーコード決済を含む広義の「QRコード決済」の利用者像について得られた示唆をいくつかご紹介しようと思います。

zhu difeng/stock.adobe.com

インフキュリオンの「決済動向調査」

2015年から毎年3月に実施している消費者調査で、2019年3月には第5回調査を実施しました。過去の調査結果の一部は本サイトの記事で紹介していますし、業界誌「CardWave」の連載でもたびたび紹介しています。

最新の調査結果に関しては、プレスリリースも出していますのでそちらもご参照ください!

関連情報

「決済動向調査」は、「全体調査」と「詳細調査」の2段階で構成されるインターネット調査です。調査地域は全国、対象者条件は16才から69才の男女。

「全体調査」では2万人を対象に、主要決済サービスの保有状況と利用状況を調査しています。今回調査では初めて、QRコード決済サービスの利用状況や、回答者自身のキャッシュレス度に関する調査も行いました。

「詳細調査」では824人を対象に、生活行動・金融行動・決済行動に関して幅広く質問しています。単に「カード決済を使っているか?」ではなく、「どんな生活スタイルの人がどんな決済サービスを利用しているのか」といった、突っ込んだ疑問に対する示唆を得られるよう設計しています。

「詳細調査」では、定点観測的に毎年繰り返している質問と、その年のテーマとして新たに設計している質問があります。2019年の最新調査での調査項目には以下が含まれています:

  • QRコード決済
  • EC向け決済手段(キャリア決済、POSAカード、後払い決済)
  • 個人間の支払
  • お店独自のポイントカードアプリ

今回は特に、QRコード決済アプリの利用者像に関する結果を紹介します。

 

QRコード決済の存在感

まず最初に、カード決済とQRコード決済の利用率について紹介します。これは、利用している決済カードとQRコード決済アプリを全て答えてもらう質問への回答から算出したものです。

各カテゴリーのうちいずれかのサービスを「利用している」と回答した割合(n=20000)

日本人が最も利用している決済カードはクレジットカードが1位、電子マネーが2位であることには変化はなく、それぞれ約75%と約50%の人が「利用している」と回答しています。

利用者数はまだ小さいですが、順調に拡大を続けているのがVisaやMasterCardやJCBのマークの入った国際ブランドデビットカードと同プリペイドカード。特にブランドデビットは昨年比約2割増となっています。

そして今回調査で初めて加わったQRコード決済。その利用率は11.6%と、既にブランドプリペイドを超えブランドデビットに迫る利用率となりました。大手事業者によるユーザー獲得と利用定着の施策は、確実に効果を挙げているようです。

利用率1位はPayPay

全体調査の対象者2万人のうち11.6%にあたる2,326人がQRコード決済アプリを「利用している」と回答しています。それでは、実際にどのアプリを利用しているのでしょうか。

QRコード決済の各アプリの利用率(QRコード決済アプリ利用者n=2326)

1位はPayPay、2位は楽天ペイ、3位はLINE Pay、4位はd払い、という結果となりました。

男性利用者が約60%

QRコード決済アプリ利用者2,326人のうち、約60%が男性でした。

ちなみにクレジットカード、電子マネー、プリペイドカード(ブランドプリペイド)の利用者は男女ほぼ半々になっています。男性が多いのはQRコード決済とデビットカード(ブランドデビット)だけ、という面白い結果が出ています。これらのサービスは、さらなる利用者獲得においては、女性への訴求が一つの論点とも言えます。

QRコード決済アプリ利用者の男女構成(n=2326)

特に30代男性が多く利用

性・年代別で見てみると、男女とも30代で利用率が最大となっていることがわかります。ただ、女性では30代の12.4%が最大であるところ、男性は10代から40代の全階層で12.4%を超えています。男性利用者に特に「刺さっている」ということがここからもわかります。

性・年代別QRコード決済アプリ利用率

主要4アプリでも男女構成に特徴

PayPay、楽天ペイは男性の利用が多いことがわかります。逆にd払いは他社よりも女性利用者の比率が高くなっています。

QRコード決済の主要4アプリの利用者の性別(PayPay(ペイペイ):n=1,114 楽天ペイ:n=768 LINE Pay:n=694 d払い:n=556)

 

LINE Payは若年層に人気

年齢構成で比較すると、LINE Payは10代~30代が利用者の半数以上を占める唯一のサービスです。若年層に人気があると言えるでしょう。

QRコード決済の主要4アプリの利用者の年齢構成(PayPay(ペイペイ):n=1,114 楽天ペイ:n=768 LINE Pay:n=694 d払い:n=556)

 

日本全国でまんべんなく利用

一般に、キャッシュレス決済の普及度は都市部において高いと言われます。そのため、さまざまな調査では、キャッシュレス決済利用は関東・近畿・中部の三大都市圏で高めに出ることが多くあります。

それでは、QRコード決済の利用率に同じような地域差は見られるのでしょうか。

地域別 QRコード決済アプリ利用率

今回調査では、QRコード決済の利用率に大きな地域差は見られませんでした。全国でまんべんなく浸透している模様です。「キャッシュレス決済の都市部偏重」という日本の課題に対して、QRコード決済は有効な解決策の一つになりえると、筆者は解釈しています。

大手事業者の激しい競争が繰り広げられている決済業界。今回は2019年3月時点での消費者動向を紹介しました。ほかにも興味深い結果がいくつかありますので、これからも順次記事化していきたいと思います。

(インフキュリオン メディア&ラボ事業部 森岡剛)

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この記事の著者が所属する企業

決済・金融領域を中心として、自ら独創的なソリューションの開発・運営を行うことにより、多くの企業や一般消費者が革新的なサービスを享受することを目指している企業です。
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