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キャッシュレス社会

アミューズメント業界における電子決済導入と顧客データ利活用

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Coffmancmu/Bigstock.com

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ゲームセンターへの電子マネー導入が加速している。その狙いがどこにあるのか、電子決済導入による事業者/顧客双方の利便性向上と顧客データの利活用という観点から考察する。

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「遊び方の変化」と決済シーン

『1プレイ100円のビデオゲーム(アーケードゲーム)やクレーンゲーム』を中心に設置している所謂”ゲームセンター”は長らく現金主義が貫かれてきた。一方、ボウリングやメダルゲームを設置してるアミューズメント施設では、ゲームセンターに先駆けて電子マネーやクレジットカード決済を導入し顧客利便性を高めてきた。

ゲームセンター業界で電子マネー導入を早期から検討していたのはセガとコナミである。前者はEdyを導入したが、Edy自体が黎明期から成長期に移行する段階だったことに加え『課金方法をEdy一本化』というあまりにも先進的な取り組みだったせいか、数年で撤退を余儀なくされている。

一方、後者はPASELIという自社独自マネーを開発、導入した。元々、特定のゲームタイトル向けデータ記録カードとしてICカードを発行しており、それに決済機能を追加したといった流れだ。同カードはコナミが開発するゲーム機限定の利用となっているが、施設内に現金チャージ機を設置したりWEBでのクレジットカード及びプリペイドカードチャージ環境を整え一定の利便性を顧客へ提供しており、現在もサービスは継続されている。

そして2015年より、大手から電子マネー導入に関するリリースが相次いだ。まず、タイトーが電子マネー決済導入を発表。交通系及び流通系電子マネー導入を推進しており、すでに複数の同社店舗で電子マネー利用が可能だ。またEdyがついた自社発行のメンバーズカード導入も発表されている。セガとコナミは、『アミューズメント機器向け電子マネーインフラ整備』を共同で行うことを発表している。

各社が電子決済を推進する理由は利便性向上だけではないと想像できる。”ゲームの遊び方”が変化していることも要因の一つではなかろうか。1プレイあたりの料金は100円択一ではなく、200円や300円等、多様な料金設定となっているし、プレイに必要なカードやデジタルアイテムを購入したりと遊び方の変化に伴い、決済金額や決済シーンも変化している。従来通り、お札を両替し硬貨を1枚づつ投入する行為を消費者に求めるには限界が近づいているのかもしれない。

データ利活用

各社が単にAM施設への電子マネー導入を推進するだけでなく、IDカード(電子マネー機能付き含む)を発行する意図は顧客データの取得・分析、そして販促活用である。『どの店舗』で『どういったゲーム』を『いくら(または何回)』といった基本的な情報に加え、各社が提供する顧客IDの一元管理といった狙いもありそうだ。

各社ともアーケードゲーム以外に、スマートフォンアプリ(ソーシャルゲーム)・Web会員サイト・インターネットショッピング等独自のサービスを展開している。それらで利用可能なIDを統括しより多くの情報を取得・分析し顧客へ新しい価値(遊び)を提供するようになるだろう。すでに同一ゲームタイトルでの、アーケードゲーム-スマートフォンアプリ間での連動によるサービスは各社とも提供している。

ゲーム業界におけるO2O施策であり、新しい顧客獲得に向けた導線確保として期待できる。

海外事例

海外のゲームセンターも、日本と変わらず現金(コイン)でプレイする方式か専用メダルに両替しプレイする方式が主流のようである。

その中でアメリカのDave and Buster’sでは、施設内でPOWERCARDと呼ばれるプリペイドカードを購入しカードの磁気ストライプをスワイプすることでプレイが可能となる仕組みを導入している。ゲームのほか、施設内にあるレストランやバーでの飲食時にも利用可能で、利用額に応じたキャッシュバック等、電子データを活かしたマーケティング施策も豊富に実施しているようである。加えてモバイル端末向けアプリも提供しておりアプリ経由でカードへのチャージも楽に行える。

アメリカでは浸透しているハウスカード及びアプリをアミューズメント複合施設が提供していると思えば想像しやすいかもしれない。

業界活性化への期待

筆者も学生以降訪れていなかったゲームセンターへ足を運んでみた。そこで体験できる遊び(ゲーム)は当時から各段に進化しており、新たな楽しさの発見があった。

ゲームを提供する事業者の本業はもちろん”楽しさ”を追求することにあり、今後も新しいゲームが開発されることだろう。

しかし、楽しいゲームを作れば人が集まる時代は過去の話、今は様々な仕掛けで消費者の心を掴まなければいけない時代である。

電子決済導入が、決済の利便性だけでなく顧客情報を活用した集客の助けとなり業界が活性化することを期待したい。

参考情報:

(インフキュリオン コンサルティング部門 古川俊介)

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