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ビットコインとブロックチェーンによる金融革新の動き

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mtmmarek/Bigstock.com

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参加者による分散処理によって維持されている仮想通貨であるビットコイン。日本ではマウントゴックス社の破たんに起因するネガティブイメージが強いと言われますが、世界の金融業界はこの一大イノベーションによる革新に向けた動きが活発化しています。

ビットコインを支える技術は、「ブロックチェーン」と呼ばれる分散台帳(distributed ledger)。その整合性を管理する中央集権的な主体を持たず、ネットに散らばる多数の参加者による分散処理によって維持されるため「分散」という語が入っています。

ビットコインは、ブロックチェーンという基盤技術を応用したサービスと位置づけられます。これは、例えばTCP/IPという基盤技術を応用してEメールやウェブといった各種サービスが実現されていることと似ています。世界の技術革新の先頭を走る米国マサチューセッツ工科大学の有識者たちは、ビットコインというキラーアプリによってブロックチェーンの普及と改良が進み、ビットコイン以外のサービス、例えばブロックチェーンによる改ざん不可能なIDや契約文書、資産登記といったものが社会の在り方を変えていく、と見ています。

これは、ブロックチェーンは、インターネットにも匹敵するイノベーションをもたらすものだ、との見方です。まだその黎明期にあたる現在では、そのインパクトを想像することは難しいとも言われます。それは20年前の時点で、TCP/IPがどれほどの社会変革をもたらすか想像することが困難だったのと似ています。

ブロックチェーンに関する動きを理解するための初歩として、本稿ではまず、海外におけるビットコインとブロックチェーンに関する動向を紹介します。

2015年4月、マサチューセッツ工科大学メディアラボは、「デジタル通貨イニシアティブ」を設立。ホワイトハウスのシニアアドバイザーとして、オープンデータやモバイルなどに関する先進IT政策についてオバマ政権に助言してきたブライアン・フォード(Brian Forde)氏をディレクターとして迎えました。

冒頭で紹介した、ブロックチェーンをTCP/IPに匹敵する基盤技術と見る見方はメディアラボ所長の伊藤穣一氏のもの。これはMITメディアラボを始め、世界のブロックチェーン有識者の見方でもあります。

世界最大手銀行の1つであるシティバンク。シティバンクはブロックチェーンの研究に数年間の蓄積があり、独自の分散台帳技術によるブロックチェーンを用いた実験を行っています。独自のビットコインとも言える「Citicoin」の試行版を立ち上げているとのこと。世界展開しているシティグループにとっては、国際送金におけるカウンターパーティーリスクへの対応が、Citicoinのユースケースの一つのようです。他国の中小銀行と資金のやりとりをする際には担保の差し入れなどが送金にかかる時間やコストを押し上げてしまいますが、Citicoinを用いることで即時送金を実現する、という考えのようです。

ビットコインに関する情報源として知られるCoindeskは7月27日、世界の大手8銀行によるビットコイン/ブロックチェーンへの取組みを紹介しました。その概要は以下です。

  • BNPパリバ(仏)は自社の通貨ファンドにビットコインを組み込むことを検討中との報道あり。
  • ソシエテジェネラル(仏)は、暗号通貨とブロックチェーンに関する研究開発を担当する技術者の募集広告を出している。
  • シティバンク(英)は英国独自のデジタル通貨を創設するよう、英政府に提言。また、上記のとおり、独自のデジタル通貨Citicoinを開発しており、社内で実証中。
  • UBS(スイス)は2015年初頭、英ロンドンにブロックチェーン技術の研究所を設立。フィンテックによる既存金融機関の成長機会を探るとのこと。また、2014年3月にはビットコイン関連技術のポテンシャルに関する研究報告書を公表。
  • バークレイズ(英)は2015年6月、ビットコイン技術の実証計画を発表。
  • ゴールドマンサックス(米)は、ブロックチェーン技術の将来性とデジタル通貨に関する報告書を公表。
  • Banco Santander(スペイン)はブロックチェーン技術の実証を進めている。
  • スタンダードチャータード(英)のチーフイノベーションオフィサーは、ブロックチェーンはクレジットカード決済や送金のコストを下げるポテンシャルがあるとの見方を公表。通貨としてのビットコインよりも、ブロックチェーン活用による新サービスにフォーカスすべきと指摘。

日本では大きな動きが見られないブロックチェーン活用ですが、海外大手金融機関の動きは既に一部が公表されてきています。本ブログは今後も、ブロックチェーンとビットコインに関する動向を紹介していきます。

参考情報

(インフキュリオン シンクタンク部門 森岡剛)

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