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割賦販売法とカード取引の安心・安全の確保 【加盟店管理】

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Volff/Bigstock.com

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2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に向け、「『日本再興戦略』改定2014」(平成26年6月24日閣議決定)において、キャッシュレス決済の普及が掲げられています。この再興戦略の下、消費者が安全利用できる環境の整備について、昨年から各省庁で検討が進められてきました。

その一つに、経済産業省で開催されている「産業構造審議会商務流通情報分科会割賦販売小委員会」があります。この小委員会では、『日本再興戦略』に加え、「特定商取引に関する法律および割賦販売法の一部を改正する法律」の規定に基づく同法の施行状況の確認と、平成26年8月26日に消費者委員会から提出された「クレジットカード取引に関する消費者問題についての建議」への対応として、クレジット取引の環境変化を踏まえた制度の見直しを昨年9月より行っています。

今回は、直近の会合で示された加盟店管理の新たな制度設計について、ご紹介します。

加盟店管理の新たな制度設計

近年、サクラサイト等の悪質事業者がクレジットカード加盟店となり、消費者被害の場でカード決済が悪用されているケースが増えています。

そのような加盟店の情報は、苦情・相談としてカード会員からイシュアに届くものの、イシュアとアクワイアラが連携しておらず、消費者トラブルの解決に時間がかかる、違法行為を行っている加盟店を排除できないという問題点が、消費相談の現場からは指摘されています。他方、業界団体側からは、アクワイアラが大手だとイシュアの交渉力が弱いケースがあることや、海外のアクワイアラ・決済代行業者が加盟店契約をしていてコントロールが利かない状況があることが、これまでの割賦販売小委員会で確認されてきました。

割賦販売法においては、イシュアに対し苦情発生時の調査が義務付けられています。他方、アクワイアラや決済代行業者(最近の資料では「PSP:ペイメント・サービス・プロバイダ」という呼び方がよく使われています)に対しては、調査等の義務はありません。

そこで、消費者委員会は経産省に対し、クレジットカードを利用した取引における加盟店の悪質な行為を原因とする消費者被害の発生・拡大防止及び回復を図るため、加盟店の管理の徹底に係る制度整備を求めました。具体的には

  1. 加盟店契約会社(アクワイアラ)及び決済代行業者に対し、割賦販売法における義務付けを含む、加盟店の管理の実効性の向上のための措置を講ずること
  2. 上記のアクワイアラ及び決済代行業者について、行政の登録等を義務付け、行政調査権限を規定すること

との建議がなされました。

加盟店の調査等の具体化の方向性について、平成27年2月17日の第8回割賦販売小委員会で以下のたたき台が示されました。

  • (A案)アクワイアラと決済代行業者に区別を設けず、加盟店に立替金を交付するものについて登録義務を課し、加盟店調査等の義務主体とする。
  • (B案)アクワイアラの登録制を導入し、加盟店調査の一義的な義務主体とする。その上で、決済代行業者に「加盟店業務代行会社」等として任意的登録制を導入するとともに、登録加盟店業務代行会社がアクワイアラと同等の義務を履行する場合については、アクワイアラの規制を軽減する。

B案ではアクワイアラが「一義的な」義務主体であることがミソで、経産省に登録された決済代行業者(登録代行会社)であれば、加盟店調査等を決済代行業者に代替履行させてもよいといったインセンティブを与えようとしています。

委員会での議論では、B案が優位にあるようです。B案を支持する主な理由として、以下が挙げられます。

  • 国際ブランドが直接取引をしているのはアクワイアラである。悪質加盟店排除のためにはブランドと連携を図る必要があるが、決済代行業者に加盟店調査義務を課したとしても、ブランドが決済代行業者にどこまで影響を及ぼせるのか疑問である
  • 決済代行業者に登録義務を課すと、対象として多すぎる。A案では行政コストが多大なものとなる。
    クレジットカードビジネスが事業の一部にすぎない決済代行業者もいる。そのような事業者にも登録義務を課すと、業者にとって大変なコストとなる。

ただし、登録代行会社に義務違反があった場合、アクワイアラに対しても選択の責任があるとしてペナルティがあるのか、といった指摘もあり、B案となった場合は登録代行会社を選好することのインセンティブの内容について、まだ疑義が残りそうです。

消費者委員会の建議には、もうひとつ、マンスリークリア取引に対する抗弁の接続導入というテーマがあります。
こちらも今後、措置の必要性と制度設計について議論される見通しです。

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