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配車サービスから決済へ:Uber、Go-Jek、Grab、滴滴出行の事例

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米国Uberの興隆で始まった、モバイルアプリによる配車サービス。世界的に大きな動きとなっています。サービス提供において要となるのが、乗客から運賃を受け取り、運転手に報酬を渡すための決済サービス。今回は海外の主要な配車アプリにおける決済サービスの状況を紹介します。

georgepontinojr/Bigstock.com

Uber:運転手向けデビットカード

配車アプリという新たな市場を切り拓いたUberですが、Lyftなど強力な競合との競争は激化しています。そこでは、運転手獲得も競争領域のひとつ。タクシーのようなプロのドライバーではなく、一般消費者を運転手として獲得するには、運転報酬の支払の利便性を高めるというのも重要な戦略です。

従来ですと、運転手への報酬は、ACHという銀行間振込サービスを用いた、週に一度の支払、などがありました。しかしそれではあまり利便性が高かったとは言えません。

そこで登場したのが「Instant Pay」というサービス。デビットカードを登録しておけば、報酬は即座に口座に入金され、1日5回まで出金可能というサービスです。Visa・MasterCard・Discoverブランドのデビットカードが登録可能ですが、出金ごとに50セントの手数料がかかります。

そこでUberが提供しているのが、提携しているGoBankから発行されるUberデビットカード。こちらにすると、出金ごとの手数料は無料となります。また、米国の銀行口座では口座維持手数料が毎月かかるのが通常ですが、Uberデビットカードを使用して報酬を受け取る運転手には、GoBankの口座維持手数料が免除となる、というものです。

参考情報:

 

Go-Jek:配車から生活アプリへ

インドネシアのスタートアップとして初めて時価総額10億ドルを超え、「ユニコーン」となったなったGo-Jek。2017年10月までにダウンロード数は5500万、40万人以上のドライバーが登録しています。東南アジア市場において、米国Uber、シンガポールのGrabと三つ巴の戦いとなっています。

Uberでは、乗客はアプリに登録した国際ブランドカードで決済するのが通常ですが、そのやり方ではそもそもアンバンクト層も多いインドネシア市場では通用しません。そこでGo-Jekが2016年4月から開始しているのが、プリペイドサービスである「Go-Pay」。Go-Jekアプリ内の一機能という位置づけで、銀行振込による入金、ATMからの入金に加えて、Go-Jekドライバーに現金を渡して入金してもらう、という面白いチャネルも用意されています。

2017年初頭には既に、Go-Jek乗車時の支払の半数以上がGo-Payによるものになっていたとのことで、ユーザの反応は上場。さらにGo-Pay残高のユーザ間送金機能も提供し、金融サービス化も進めています。また、食品デリバリーの「Go-Food」、医療費や電気代をGo-Payから支払うことができる「Go-Bill」といった、生活サービスにおける決済にも進出しています。

決済サービスであるGo-Payを中心とする経済圏を築きつつあるGo-Jek。さらにリアル加盟店でのキャッシュレス決済へも2017年内に進出する計画です(サービス開始は執筆時点で未確認)。

 

参考情報:

 

GrabPay:プリペイドと送金

シンガポールを本拠地とするGrab。2017年7月にはソフトバンクと滴滴出行が20億ドルを出資したことで日本でもニュースになりました。こちらも5000万回以上のダウンロードと、110万人のドライバーを誇る、配車アプリの雄です。東南アジア地域において、7カ国以上65都市でサービスを展開しています。

Grabが提供している決済サービスが「GrabPay」。当初はカード決済機能がメインでしたが、2016年11月からは銀行口座やキオスクから入金可能なプリペイドサービスとして拡大しています。

GrabPayも金融サービス化をもくろんでおり、2017年12月はフィリピンにおいてユーザ間の送金機能が開始されています。

 

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滴滴出行:決済事業者を買収

中国最大の配車サービスである滴滴出行(Didi Chuxing)。こちらは、2017年12月に決済サービス事業者である19Payを3億元で買収したとのこと。買収に関しては、既に中国人民銀行の承認も下りています。

滴滴出行での従来の決済手段はカード決済やAlipay、WeChat Pay、QQ Walletなど。今回の19Pay買収で、滴滴出行は独自決済サービスの提供に乗り出すことなります。

ところで、中国人民銀行は、決済サービス事業の免許を新規に認可しない方針を表明しています。今回の滴滴出行のように、新たに決済サービスを提供したい事業者は、既に発行されている事業者免許を買収などのかたちで入手することが必須となっています。

 

参考情報:

 

今回は配車サービスからの決済サービスについて、海外の大手プレイヤーの動向を紹介しました。日本においても、「Japan Taxi Wallet」などタクシー分野で新たな動きがあります。日常生活で利用するアプリにおいては、決済をどうするかはUXの要ですし、一度決済を手がければ、そこから金融サービスへ拡大していくのは事業戦略の王道と言えます。今後も、配車という非伝統プレイヤーによる金融サービスの発展に注目していきます。

(インフキュリオン シンクタンク事業部 森岡剛)

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