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デビットカードとプリペイドカードの利用者像 -インフキュリオン決済動向調査2017-

前回のインサイト記事ではインフキュリオン独自リサーチ結果をもとに、国際ブランドデビットカード(以下ブランドデビット)と国際ブランドプリペイドカード(以下ブランドプリペイド)の利用拡大のトレンドについて紹介しました。今回記事ではこれらペイメントカードの利用者像について考察します。

男性ユーザが多いブランドデビット

まず下の図をご覧ください。これは、それぞれのペイメントカードについて「利用している」と回答した人の男女構成を図示したものです。

「インフキュリオン決済動向調査」より

全サンプルは20000人で、男女同率の構成となっています。そのうち、クレジットカード利用者(15289人)、ブランドプリペイド利用者(1520人)、電子マネー利用者(9042人)は男女がほぼ均等に分布しています。

ここで興味深いのはブランドデビット利用者です。1411人のうち3分の2が男性と、他のペイメントカードに比べて男性の割合が顕著に高くなっています。

実は、調査データを詳しく見るとさらに興味深い事実が判明します。クレジットカード、電子マネー、ブランドプリペイドも、イシュア(発行会社)ごとのユーザの男女比は均等ではなく、男性ユーザが多いイシュアもあれば、女性ユーザが多いイシュアもあります。それぞれのイシュアがターゲットを決めて獲得に注力した結果、総体としてユーザの男女比がほぼ同一となり、取りこぼしの無い市場構造になっていると言えます。

翻ってブランドデビットの詳細データを見てみると、主要イシュアのほとんどにおいて男性ユーザが多い状況であることがわかります。(女性ユーザが多いイシュアは1社だけありました。)ネット銀行ではもともと顧客の男性率が高いという背景もありますが、ネット銀行以外のブランドデビットイシュアでも男性率が高い傾向にあります。

決済機能でブランドデビットとほぼ同等であるクレジットカードやブランドプリペイドが男女均等にユーザ獲得している中で、ブランドデビットだけが女性に訴求できていないことがわかります。

順調に利用者数を増やしているブランドデビットですが、女性ユーザの獲得は業界としての次の課題と言えるでしょう。

30才未満が支持するデビットとプリペイド

次にそれぞれのペイメントカード利用者の年齢構成を図示します。調査は16才から69才を対象としていますので、「10代」は実際には16才から19才までです。

「インフキュリオン決済動向調査」より

クレジットカードは「10代」の利用者の割合が低く、30代・40代・50代の割合が大きくなっています。社会人として成熟した層をメインのユーザとしている様子がわかります。

電子マネー利用者は、全サンプルの年齢構成にもっとも近い年齢構成となっています。年齢に関係なくまんべんなく浸透している様子です。

ブランドデビットは利用者に占める10代と20代の割合が大きくなっています。クレジットカード利用者では10代と20代は全利用者の15.0%なのに対し、ブランドデビットでは24.4%で、利用者の4人に1人が30才未満ということになります。

若年層への浸透力がさらに強いのがブランドプリペイドです。10代と20代の利用者の割合は32.0%、全利用者の3分の1が30歳未満という大きな特徴を持っています。また、60代ユーザの割合がもっとも小さいのもブランドデビット。特に若年層に強いプロダクトであることがわかります。

年齢構成の分析からは、クレジットカードが浸透していない30才未満の層において、ブランドデビットとブランドプリペイドが利用者を獲得していることがわかります。クレジットカードが取りこぼしている層にブランドデビットとブランドプリペイドが訴求できているという構造が存在し、クレジットカードを補完する形で日本のキャッシュレス化に貢献していっていることがわかりました。