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日本のFinTechに必要なもの ―FinTech協会活動報告会レポート―

Photology1971/Bigstock.com

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この半年で急激に高まったFinTechへの関心。FinTechスタートアップや金融機関、金融ベンダーなどFinTech当事者やFinTech有識者が参画している一般社団法人FinTech協会は、日本のFinTechのさらなる活性化に必要なものはなにか?というアンケートを実施し、その結果を2016年3月30日に東京・丸の内で開催された「FinTech協会第一回活動報告会」で共有しました。

多様な立場のプレイヤーが参画しているFinTech協会ですので、今回のアンケート結果を踏まえた「協会としての提言」などは無く、あくまでも、「個人会員を含むFinTech関係者の関心事」をリストアップしたもの。まだフィルターのかかっていない当事者の生の声で、これをどのように日本のFinTechの発展に活かしていくかは今後も議論が続くことでしょう。

本稿ではそのアンケートの概要を中心に、FinTech協会第一回活動報告会について紹介します。

FinTech協会第一回活動報告会

FinTech協会第一回活動報告会の様子。協会メンバー企業から約100名の参加がありました。

FinTech協会活動報告会

協会の代表理事・丸山氏(当社代表取締役)の司会で始まった今回の活動報告会。まずは会場スポンサーである三菱地所から、会場となったEGG Japanの紹介がありました。

関連情報:

東京駅近くの「駅前シリコンバレー」と呼ぶ方もいらっしゃるというEGG Japanは、ICT(情報通信技術)やヘルスケアの分野での国内外の先端的なベンチャー企業を支援する「ビジネスサポートコミュニティ」。単なる賃貸オフィスにとどまらず、専門家や顧客候補の紹介などインキュベーションでスタートアップを支援しているとのこと。

三菱地所が丸の内において運営しているスタートアップ支援施設はEGG Japanだけではなく、FinTechを対象としたFINOLABや7月グランドオープン予定のGBHTがあります。「駅前シリコンバレー」から日本をますます元気にする活動が広がっていくことを期待します。

続いて、協会代表理事・丸山氏による協会状況の報告。ポイントは以下でした。

  1. ベンチャー会員42社、法人会員65社と、全体で100社を超える協会に拡大した
  2. 今年に入ってからの以降の主要な活動は以下:
    • ベンチャー会員全体会の開催
    • 自由民主党フィンテック議員連盟勉強会に出席
    • 決済分科会を開催
    • ISIDによるフィンテックピッチイベントFIBCの支援
    • ミートアップイベント開催
  3. 協会メンバーへのアンケート実施。協会としての意見集約はしておらず、「メンバーからはこういう意見が出た」という状況。

最後の点が今回の活動報告会のメインとなる内容でした。

FinTechの発展に必要なもの

アンケートを実施し、その概要をまとめたのは、協会監事を務める藤武弁護士と、協会事務局を務める渥美坂井法律事務所。まずは藤武弁護士からアンケートの概要説明がありました。

アンケートは協会のベンチャー会員・法人会員・個人会員が対象で、「事業に関する要望」「個別の法令に関する要望」を聞くものでした。メンバーの約半数から回答があったとのこと。

「事業に関する要望」としては以下の分野に関する意見が目立ったとのことです:

  • 法的インフラの整備:業種横断的な規制、海外の規制との整合性など
  • セキュリティ基準:金融機関とベンチャーの連携におけるセキュリティ基準のありかたなど
  • 金融機関のAPI公開の考え方など
  • 生体認証やマイナンバー制度導入によって普及すると見られる公的個人認証に関する意見
  • キャッシュレス化や商取引のペーパーレス化推進への要望
  • 国民全体の金融リテラシー向上について
  • 人材確保、オフィススペース、資金など

続いて、事務局の落合弁護士による「個別の法令に関する要望」の概要紹介。以下のような法令について要望が多かったとのことでした。

  • 犯罪収益移転防止法(本人確認)
  • 資金決済法(送金サービス)
  • 銀行法(銀行の業務範囲など)
  • 労働基準法(給与の支払方法の拡大)
  • 個人情報保護法(データ活用)
  • 貸金業法(クラウドファンディングなど)
  • 割賦販売法(電子レシートに関連して)

協会としては、このような協会メンバーの懸案事項を踏まえて各分科会にて検討を行うとともに、特に外部からの関心も高い分野については関係諸団体や外部有識者にも連携を求めていく、という方針を確認しました。