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IoT決済とトークナイゼーション

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buso23/Bigstock.com

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冷蔵庫のウォレット化

2016年1月、サムスン(Samsung)とマスターカード(MasterCard)は、食品の注文と決済の機能を搭載した冷蔵庫「Family Hub」を発表しました。本稿ではこの事例を起点に、多様なデバイスがネットワーク接続を用いて決済することができる「IoT決済」におけるEMVCo型トークナイゼーションの位置付けについて考察します。

この冷蔵庫に組み込まれているのはMasterCardが開発したアプリ「Groceries(グローサリーズ)」。ユーザーは冷蔵庫のタッチパネルの操作で食料品の注文・決済を行うことができるとのこと。

以下はMasterCardが公開している紹介動画です。

冷蔵庫内にはカメラが搭載されており、扉を開けることなく、タッチパネルを操作して買いたい食品を選んでいくことができます。選んだ食品はECにおけるショッピングカートと同じ要領で登録されていき、決済ステップを踏むすることで注文を確定することができます。代金はアプリに登録したカードで行いますが、その時には4桁のPINでの認証のステップが入ります。

IoTとトークナイゼーション

この「Family Hub」冷蔵庫は、多様な機器がセンサーとネットワーク機能を持つIoTの流れの一つと位置付けられますが、特に決済機能を家電に組み込んだという点は、将来のIoT生活の方向性を示すものとも考えられます。

しかし、クレジットカード番号の漏洩や不正被害が大きなニュースになる昨今、大事なカード番号を、いろんな家電に入力することを躊躇する消費者も多いのではないでしょうか。

そこで威力を発揮するもが、Apple Pay・Samsung Pay・Android Payなどモバイル決済サービスで活用されているトークナイゼーション。カード業界の団体であるEMVCoの仕様に基づいて国際ブランドなどが提供しているサービスで、カード番号をスマホなどの機器に登録する際に、当該機器でしか使えない「トークン」に置き換えてしまい、以降の決済ではトークンのみを利用するというサービスです。もともと、EC決済やモバイル決済などにおいてカード番号をあちこちに登録することについて消費者が感じる不安を払拭する目的で開発されてきました。

本稿で紹介した「Family Hub」冷蔵庫、2016年末までにはEMVCo型トークナイゼーションに対応するとのこと。そうすると、冷蔵庫アプリはカード番号を保有せず、もし流出しても他所では使えないトークンのみを保有することになります。冷蔵庫からのカード番号流出のリスクはゼロになるので、セキュリティに関する不安感はこれでかなり下がると思われます。「冷蔵庫で決済」という、マンガ的とも言える未来サービスを実現したSamsungとMasterCard。そこにも、カード業界がさらなるキャッシュレス化促進のために放った、トークナイゼーションが活かされていくのです。

一つ気になるのは、日本の状況。独自に発展してきたカード決済インフラの事情で、まだトークナイゼーションサービスはスタートしていません。Apple Payなどトークン型モバイル決済サービスの開始がまだ不透明なのも、トークンサービスの不在が一つの要因と思われます。モバイル決済だけでなく、自動車ウォレットや冷蔵庫ウォレットなどIoT決済で広く使われていくと思われるトークナイゼーション。日本での開始に期待します。

参考情報:

関連インサイト:

(インフキュリオン シンクタンク部門 森岡剛)

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