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フィンテックの祭典FinovateFall2015参加速報

金融(ファイナンス)と技術(テクノロジー)を組み合わせた造語であるフィンテック、金融の革新を牽引する動きとして注目が集まっています。欧米ではフィンテック関連への投資の規模が飛躍的に増大しています。日本でも若干遅れて、最近は「フィンテック」というキーワードに関連した動きが活発化しています。

そんな背景の中、インフキュリオンも、米国を中心に半年に一度開催されているフィンテックの祭典・FinovateFall2015に参加してきました。本稿ではその全体概要について述べたいと思います。

FinovateFall 2015

FinovateFall2015のイベントサイト: http://fall2015.finovate.com/

1500人が参加する一大イベントとなったFinovateFall 2015、今回はニューヨークでの開催です。2日間にかけて70社のフィンテック企業が登壇しました。

ひたすらフィンテック企業によるデモで進行するこのイベント。パワーポイントスライドや前もって撮影した動画の上映は一切禁止で、7分間という枠の中で、ウィットを効かせた喋りとPC・タブレット・スマホを駆使したデモで自社サービスの優位点を金融機関に向けてアピールします。

「金融機関に向けて」と書いたのは、実はここがFinovateの勘所。金融の破壊的革新をもたらすとも言われるフィンテックですが、金融機関とフィンテックは対立関係には無く、高度ITを駆使した新サービスを金融機関に採用してもらうことでお互いがWin-Winになるような生態系がほぼ出来上がっています。今回登壇したフィンテック企業の活動領域は、モバイルバンキング、カード決済時のリアルタイム不正検知、ファイナンシャルアドバイジング、クラウドレンディングとその債権の証券化、中小企業の経理と予算管理、ビットコイン、入会時の本人確認効率化など多岐にわたりますが、それを「ホワイトレーベル」つまり銀行側ブランドで提供するよう高いカスタマイズ性を強調するものばかり。金融機関側も、自前で全てをやるのではなく、適材適所の調達政策で自社顧客の満足度向上と顧客基盤拡大を狙っており、その目利きと情報収集のためのFinovate参加、という位置づけです。

個別のフィンテックサービスについてはこのブログでも紹介してきますが、印象的だった点の第一はこのフィンテックと金融機関の生態系の存在。そして印象的だった点の第二は、ここ数年で急速に発展した高度ITが既に実用レベルにきているという点です。特に印象的なのは自然言語(Finovateではもちろん英語のことです)の文書解析と文書生成、そして音声言語解析と対話型AIエージェントの活用でした。既に金融市場動向やスポーツの試合結果の記事などはAIが生成したものでも人間のそれと比較しても遜色ないレベルにありますが、それを具体的な金融業務に活用するフィンテックサービスが出現しています。特にファイナンシャルアドバイザーに対してIBMのワトソンを使ってピンポイントでアドバイスを与えるサービスなど、AIや自然言語データを用いたビッグデータ処理が実用レベルにきているという点が印象的でした。

高度ITを使いこなそうという金融機関と様子見で後追い姿勢の金融機関、それらの差は今後大きく開いていく予感のするFinovate参加でした。

本稿では速報として全体的な印象を述べましたが、今後このブログにて、米国を中心とするフィンテック動向についてFinovateで収集した情報をもとに発信していく予定ですのでご期待ください。