インサイト

カード決済

高まりを見せるデビットカード発行の機運

Share Button
Snaprender/Bigstock.com

Snaprender/Bigstock.com

 

2015年2月26日、北洋銀行がJCBデビットカード発行を発表しました。JCBブランドのデビットカードとしては千葉銀行、大垣共立銀行、に続く3行目で、2014年からのJCBデビットカード発行機運の高まりを示すものです。Visaデビットカードは2006年のスルガ銀行を始め9行が発行しています。

米国ではクレジットカードに肩を並べるほどの取扱高を持つデビットカードですが、日本での普及はこれからです。本稿は高まりつつあるデビットカード発行について考察します。

ブランドデビットカードは、クレジットカードと共通のインフラを用いた決済カード。クレジットカードと違い、利用金額を銀行口座から即時に引き落とすことが特徴です。上で述べたとおり、米国など諸外国ではクレジットカードと同等の認知度・取扱高を誇りますが、日本では発行事例も少なく社会に広く認知されているとは言えません。

日本でブランドデビットの普及が遅れている理由として、国内カード業界の特殊事情があります。クレジットカード発祥の地である米国を含む諸外国では、カードのイシュアやアクワイヤラは銀行であることが通常であり、与信型のクレジットカードだけでなく口座即時引き落とし型のデビットカードの発行・運営に大きな障害はありません。

しかし日本では、カード業界は銀行業界とは別に独自の発展を遂げてきました。カード会社は会員募集・カード発行・決済・請求・回収といったクレジットカード業務には精通していますが、銀行ではないので銀行口座は持っていません。銀行口座を前提とするデビットカードは必然的にカード会社の業務の範囲外となります。銀行業界は、カード会社の協力を得ながらクレジットカード発行などを行ってきましたが、日本独自のJ-Debitもあり、ブランドデビットの発行にあまり力を入れてきませんでした。

ここへきてその状況が変わりつつあります。2013年ごろから、銀行によるVisaやJCBブランドのデビットカードの発行が相次いでいるのです。下にそれを表にまとめます。

商品名 銀行 ブランド 発行時期
SURUGA Visaデビットカード スルガ銀行 Visa 2006年1月
楽天銀行デビットカード 楽天銀行 Visa 2007年7月23日
りそなVisaデビットカード(JMB) りそな銀行 Visa 2011年5月25日
あおぞらキャッシュカード・プラス あおぞら銀行 Visa 2013年3月4日
りそなVisaデビットカード(オリジナル) りそな銀行 Visa 2013年7月22日
りそなVisaデビットカード(オリジナル) 埼玉りそな銀行 Visa 2013年9月24日
三菱東京UFJ-VISAデビット 三菱東京UFJ銀行 Visa 2013年11月20日
JNB Visaデビットカード ジャパンネット銀行 Visa 2013年12月2日
JNB カードレスVisaデビット ジャパンネット銀行 Visa 2013年12月2日
近畿大阪Visaデビットカード(オリジナル) 近畿大阪銀行 Visa 2013年12月9日
イオンデビットカード イオン銀行 Visa 2014年初
りそなVisaデビットカード(JMB) 埼玉りそな銀行 Visa 2014年10月1日
近畿大阪Visaデビットカード(JMB) 近畿大阪銀行 Visa 2014年10月1日
ちばぎんスーパーカード<デビット> 千葉銀行 JCB 2014年10月1日
OKBデビット 大垣共立銀行 JCB 2014年10月27日
ANAマイレ-ジクラブFinancial Pass Visaデビットカード スルガ銀行 Visa 2015年1月20日
北洋-JCBデビット 北洋銀行 JCB 2015年3月9日

オフライン加盟店、オーソリと売上の不一致、オーバードラフトリスクなど、対応が必要な課題はありますが、カード業界から見ると、デビットカードは、クレジットカード決済インフラを利用しながらカード利用者を拡大させることができる利点があります。使い過ぎへの懸念から、後払い型であるクレジットカードを敬遠する層や、与信困難な未成年や若年層、リタイヤ層など幅広い層を対象とすることができるのです。発行会社は銀行ですが、カード決済のバックエンド業務をカード会社が支援するなどの組み方が考えられ、カード業界からすると新事業領域の一つと言えます。

銀行から見ると、口座のお金をそのまま買い物に使ってもらうことで、顧客の購買行動の情報を得られることは大きな利点です。また、若年層向けの商品が預金口座くらいしかない中、将来において住宅ローンや資産形成のニーズが顕在化するまで顧客をつなぎとめておくための商品としての位置づけは重要です。

2020年東京オリンピック/パラリンピックに向けてキャッシュレス化を推進している日本。クレジットカードよりも広い層を対象にできるデビットカードは、キャッシュレス化のさらなる進展においても大きな役割を果たしていくと思われます。

Share Button

この記事の著者が所属する企業

決済・金融領域を中心として、自ら独創的なソリューションの開発・運営を行うことにより、多くの企業や一般消費者が革新的なサービスを享受することを目指している企業です。
詳しくはこちらからご覧ください。

決済ビジネスに関するご相談があればお気軽にお問い合わせ下さい

事業戦略からカード商品設計、システム戦略、業務構築に至るまで、決済ビジネスに関するコンサルティングサービスをご提供しています。まずはお気軽にお問い合わせください。