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マイナンバー制度と国民向け電子決済ポータル

Jakub Jirsak/Bigstock.com

マイナンバー制度とは、住民票のある全ての人に付与する番号(マイナンバー)を用いて社会保障・税・災害対策等の分野で効率的に情報を管理するための制度です。「行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平かつ公正な社会を実現する社会基盤」(内閣官房サイト)として期待されており、今年(平成27年)10月から国民ひとりひとりへのマイナンバー個別通知が始まります。

マイナンバーの将来像には、制度に対応した専用サイト「マイポータル/マイガバメント(仮称)」の構想が含まれており、2月16日の「マイナンバー分科会」にてそのイメージが公表されました。そこには電子決済を用いた納税の機能も含まれています。

本稿はマイポータル/マイガバメント構想の概要を紹介します。

「マイポータル/マイガバメント」(仮称)のイメージ資料は下記URLで閲覧できます。

参考URL

マイポータルは2017年1月本格運用開始予定で、税金の電子申告や納税額の確認、年金の給付状況の確認といった機能を提供予定ですが、検討中の構想には以下も含まれています:
市区町村などからの通知や関連する案内を受け取ることができる「電子私書箱機能」
引越しなどの際に、国民から行政機関や各種民間事業者に一斉送信を行える「ワンストップ機能」
決済代行事業者を経由して日本銀行または指定金融機関へ決済情報を送信することで納税できる「電子決済機能」
決済業界としては、上記の「電子決済機能」に関心が高まっています。そのイメージ図を抜粋します。

出所:マイナンバー等分科会第8回資料 内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室、同社会保障改革担当室

出所:マイナンバー等分科会第8回資料 内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室、同社会保障改革担当室

電子決済機能では、ネットバンキング(ペイジー)及びクレジットカード決済に対応予定としていますが、「マイポータル/マイガバメント(仮称)のシステム内にカード番号等の支払情報は保持しない」としており、セキュリティにも配慮しています。資料ではクレジットカード対応が明記されていますが、リタイヤ層や若年層など非与信層はデビットカード/プリペイドカードという非与信型のブランドカードも当然利用可能とみていいでしょう。

2/16のマイナンバー等分科会では、上記の引越時のワンストップ機能と、対面書面を前提とする市区町村の転入・転出業務との整合や、認証機能の実現方式などについて議論がされました。実現のハードルを見極めた上で、費用対効果のあるところから実現を進めていく方向です。

今年から動き出すマイナンバー制度ですが、内閣府調査によると国民の認知度はまだ低く、「内容知っていた」は約3割。国民にとって利便性の高いサービスの実現は国民の関心を高めるうえでも必要ですが、マイポータル/マイガバメント(仮称)は確かに「あったらいいな」というサービス。特に電子決済機能は、先進諸国に比べてまだ低い水準に留まっている日本の電子決済の普及促進効果もありそうです。

インフキュリオンブログでも、マイポータル/マイガバメント(仮称)における電子決済機能の検討状況を今後も紹介していく予定です。

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