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日本のフィンテック最新動向 (第3回FinTech Meetup報告)

フィンテック(Fintech)とは金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、金融サービス領域で活動するIT系スタートアップの総称です。海外では大手企業によるフィンテックへの出資や買収が活発化していますが、日本においてもフィンテック関連ニュースが新聞等のメディアを飾ることも多くなってきています。

そんな中、日本のフィンテック業界関係者や興味のある人が集まって情報交換・ネットワーキングする会としてスタートしたFinTech Meetup(フィンテック・ミートアップ)の第3回目の会合が、去る2月5日、新宿において開催されました。今回はその概要を報告します。

3回目を数える東京のFinTech Meetup。スポンサー企業はMoneytree社、WebPay社、インフキュリオン社、メリービズ社、フィノベーション社。そして今回は会場スポンサーである株式会社サイバーエージェント・ベンチャーズのセミナールームでの開催となりました。参加費無償で告知したところ参加申込は定員を大きくオーバー、FinTechへの関心の高さがうかがえました。当日、雪の予報で交通機関への影響も懸念されましたが、幸い支障なく会は開催され、会場は60名程度の参加者の熱気あふれる活発なイベントとなりました。

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飲み物と軽食を片手に歓談することが趣旨のMeetupでしたが、今回は第3回目ということで間にプレゼンテーションを挟んで進行。開場から30分後の19:30の開会アナウンスの後、Moneytree社Sales Managerのマクダッド氏、メリービズ社代表の工藤氏による短いサービス紹介を経て、インフキュリオン社(当社です!)代表取締役丸山氏による「国内ペイメントカード市場の現状と今後の動向」、Kraken Bitcoin Exchange社日本市場最高責任者の宮口氏による「ビットコイン業界とその可能性」と題したプレゼンテーションが行われました。全プレゼンテーションは20:30ごろに終了、その後も参加者による歓談タイムが設けられ、参加者は遅くまで活発な情報交換とネットワーキングを楽しむことができました。

以下は今回のプレゼンテーションの概要です。

まずはMoneytree社のマクダッド氏。「家計簿より楽チン」な資産管理アプリを提供する同社ですが、Apple社による「Best of 2013」に続き「Best of 2014」も受賞したとのこと。2年連続受賞は珍しいとのことで、同社に寄せられる顧客からの高い支持がうかがえます。プレゼンでは、会計ソフトの「弥生シリーズ」との連携開始、そしてPFU社のドキュメントスキャナー「ScanSnap」との連携でさらに高度なユーザーサポートを実現してゆくとのことでした。

続いてはメリービズ社の工藤氏。経理処理サービスを提供する同社ですが、税理士ドットコムとの業務提携による確定申告パッケージ、そしてMeetup翌日から提供する新バージョンの簡単な紹介を行いました。特に後者は、レシートや領収書だけでなく、通帳コピーやカード明細などを含む多様な書類にカバー範囲を拡大したサービスで、クラウド会計業界で初とのこと。「経理をもっと簡単にしてゆく」との表明でしめくくりました。

インフキュリオン社代表取締役の丸山は、ペイメントカード業界誌である「CardWave」を発刊するカード・ウェーブ社の取締役も兼務。金融・決済に強みを持ったコンサルティング会社として国内のペイメントカード市場を概観する内容のプレゼンテーションでした。日本の家計最終消費出に占めるカード決済など電子決済比率は14%、これは先進諸国に比べて低い水準であり、拡大余地はまだ大きいとの現状認識から始まり、電子決済化が進まない要因として①消費者が持つ漠然とした不安、②規格の乱立や多数の仲介プレイヤーが絡み合っている高コストな業界構造、③与信が必要なクレジットカードだけではリーチ困難な層の存在、を挙げました。課題解決の方向性として、デビットカードやプリペイドなど非与信型決済カードの拡大、政府主導の決済インフラ高度化の動きなどの関連動向を示しました。また、同社の豊富なコンサルティング経験を踏まえても、CLO(Card-Linked Offer)、PFM(Personal Finance Management)、独自決済、CtoC送金などFinTechと特に関連の深い市場機会が存在すると指摘しました。

最後に登壇したのはKraken Bitcoin Exchange社の宮口氏。MTGOX社に関連したネガティブなニュースで日本における知名度が上がったビットコインですが、その取引所大手であるKrakenから見たビットコイン業界の概観を共有するものでした。米国、EU、日本それぞれのビットコイン規制の概要を簡単にまとめたあと、自民党からのガイドラインに沿ったかたちでの業界自身による自主規制という日本のやり方は、柔軟性をもちかつ実績を出している点から海外諸国への見本になるもの、との見方を示しました。ビットコインを取り巻くトレンドとしては、ビットコイン価格の下落、取引量の増大、ビットコイン決済を導入する企業の増大を挙げ、特にビットコイン決済導入は従来とは異なる層の顧客を集客できる効果が見られると指摘しました。Kraken社自身については、円/ビットコイン取引を提供する唯一の大手取引所である点をアピール、最後にKraken社のサービスを活用するメリットとして安心・安全であることに加え、各種のビジネスパートナー関係を構築することができる点を強調しました。

国内においても活発化しているフィンテック、そのキーマンたちが集うFinTech Meetupは今後も続いていきます。関心興味のある方、今後の参加を検討されてはいかがでしょうか。